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ゴムで補完的役割を果たす(簡単な方法で既存部品を補いたい)


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背景

自動車部品メーカー様で扱うストラットマウントに使用される部品。
その部品を使用する生産工場で、車両本体への組み付け時に
車両本体部分と部品との間に微妙な隙間ができてしまうが
なんとかならないか?というご相談がありました。

 

問題

本体接地部との干渉と、コスト問題
(1)隙間があることで、部品組み付け後の安定が悪く
車両接地部分と部品とが干渉しあい、キズができてしまう。
(2)金型を作り直すほどのコストと時間をかけることができない。
(3)金型を作り直し干渉問題を解決しようとすると、部品の構造上成型後の
バリ対策が難しくなる。

 

対策前

対策前の図
・組み付け時、固定はできるがわずかな隙間ができてしまう。
・車両接地部分と部品金具部とが、干渉しあう状態

 

対策

ゴムが緩衝剤の役割

金型を作り直さない方向で検討し、ブチルゴムテープを緩衝剤として使用することにしました。
ブチルゴムテープは粘着力が特徴のゴムテープです。
その特徴を活かし、組み付け時にしっかりと締め込むと締め込む力に合わせてブチルゴムテープが潰れ緩衝剤の役割を持たせることができました。

検討段階では・・・

NBRゴムでも検討したものの、硬度が高い為締め込み時にうまく潰れず緩衝剤となるほど衝撃吸収には至りませんでした。

 

組み付け作業時間ロスへの配慮

ブチルゴムテープの特性上、ゴム同士くっついてしまったり、必要数を手に取りにくかったりということが発生してしまいます。
その対策として、すぐに手に取りやすいようブチルゴムテープを加工しました。
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剥離紙、ブチルゴムテープ、ポリエステルペットフィルムの3層構造を作り貼付け部に合わせた寸法でカット。
3層全てをカットしてしまうと1個1個剥離紙を剥がすという作業ロスが 発生してしまうため、カットの深さははフィルムとゴムテープまでとしました。

 

対策後

対策後の図

金型作成費削減!

金型の再製作をしなかったことで、コスト削減につながりました。
500個の部品生産予定に対して、金型作成し生産した場合と今回提案した加工法で生産した場合とを比較してみると、金型作成した場合のコストを100とした場合、提案加工法では53%に抑えることができました。

納品後の作業タイムロスを最少減に!

ブチルゴムテープの特性である強い粘着力が、作業タイムロスの原因とならないようこのブチルゴムシート加工により扱いにくい特性のゴムでも、「1個を手に取る」、「剥離紙を剥がす」を片手で同時に行える作業を実現しました。

ゴムの特性を最大限活かした「緩衝剤」として採用

反発力が少ないブチルゴムテープは、締め付け具合に合わせて潰れて留まることが可能で、硬化しにくいため、「ゴムの緩衝剤」として自動車部品メーカー様に採用されました。